日向一実32歳。職業グリーン・コーディネイター、CF撮影など感性を要求される世界で男まさりの仕事をしている。一実は再婚女性で、夫の秀夫は二つ年下の建築家、結婚二年目。最近いつもかかってくる正体不明の電話に、秀夫は前夫の影を感じていた。そんな時、一実に妊娠の予感、しかしなぜか秀夫には黙っていた。そんな一実に微妙な視線を向けるもう一人の男性がいた。行きつけの喫茶店のマスター友春だ。いま一実は、あまりポピュラーでない自分の仕事がささやかでも認められたらと、近づく個展の準備に余念がなかった。個展当日、一実の母志保、姉の茅子もお祝いにかけつけた。盛況にホッと胸をなでおろす一実に、女性誌のフリーライターを...